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VOL.8 Dec. 2006 【1.9MB】
BPM/SOAへの挑戦
〜主役はモデリング知識を活用できるビジネスアナリストとエンドユーザ〜


株式会社ストラタジーナム
代表取締役
山本 哲也氏

Profile
Tetsuya Yamamoto
東京大学理学部情報科学科卒。米国IBMラーレー研究所、IBM本社勤務等を経て、シリコンバレーのベンチャー企業(ストラタコム、シスコ・システムズ等)に勤務。その後、ワールドコム、NCR等で、マネジメント職務を歴任。

2003年9月、株式会社ストラタジーナム設立、代表取締役に就任。PMGSと包括代理契約を締結し、2006年1月、PMGS Japan設立、同代表を兼任。

BPM/SOAは歴史的な必然性

―昨今、BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)、SOA(サービス指向アーキテクチャ)という言葉が注目を浴びています。
まずBPMですが、時代の大きな流れとして必然的な結果ということが言えるかと思います。80年代の半ば、私がIBMにいた頃、米国の国防総省へ納入するソフトウェアの設計には、Ada(エイダ)というプログラミング言語を使用しておりました。ちょっとしたバグがすぐ巨大事故につながっていく中で、彼らが、品質を高めるために最も重要と考えたのは、設計レベルで品質を上げるということでした。自然言語は精密さにおいて限界があるということで、エイダが登場したわけです。

90年代くらいになりますと、コンピュータのパフォーマンスが上がってきまして、オブジェクト指向プログラミング、C++やJavaが実用的な速さになってきました。エイダのようなキャラクタベースのデザイン言語からUMLのような図形を使った言語が、コンピュータで十分ハンドリングできるようになったということもあり、オブジェクト指向からモデリングの世界に入ってきました。現在、日本では、オブジェクト指向といいますと、プログラマーの知識、技術という見方がされます。実はアメリカもかつてはそうでしたが、急速に、上流工程の方々がモデリング言語等を使い始めています。上流工程に関しては、日本とはちょっと差が開いてきているな、というのが正直な実感です。

上流工程のエンジニアとプログラマーの比率は逆転

それともう一つは、ITの作業の中で人口比が変化しつつあるということがあります。アメリカでは、今現在、ホワイトカラー、いわゆる上流工程のエンジニアと、ブルーカラー、実際のコーディングをしているエンジアニアの比率が1:2で、まだプログラマーのほうが多いんですが、ここ10年以内に、2:1に人口比が逆転するだろうと言われております。これはひとえに、ツールの生産の自動化が進んでいることによります。モデル・ドリブン・アーキテクチャという言葉に代表されますように、上流工程のモデルをつくると徐々に、自動的に下のコーディングが出てくるというテクノロジーです。じゃあ、人間は何をするのか、というとヒューマンインターフェイスですね。グラフィカルインターフェイス等は人間の勘と経験に負うところがあります。この部分は相変わらず最後まで手作りの部分は残ると思います。しかし、昨今はビジネスのルールをロジックに落とすような作業もどんどん機械化されております。BPM、それからSOAというものはその強力なツールとして登場してきたと言えます。

SOX法による援護射撃

それともう一つ特筆すべき点としましては、SOX法も大きなドライブをかけるファクターになっております。SOX法では、違反をしますと経営者が重い刑罰に問われます。SOX法によるビジネスプロセスの要求は、ビジネスプロセスが正しいかという点、それから、正しく実現されているか、実行されているかという2点に変わってきます。そういう意味でこのBPMは、まず正しいか正しくないかを検証する上での非常にいいツールになります。それから、自動化ツールの効用があります。従来、エイダでやっていたようにモデルのツールを読んでプログラマーがプログラミングするとそこに人間が介在しますので、不正を入れるチャンスができるわけです。ところが自動化ツールを使うことにより、そこに人間が介在する余地がない、ビジネスモデルを違うことに使えないということで、SOX法による後押しというのも非常に大きな影響だと思います。

主役は発注者へ

―従来、日本では、発注者から大まかな仕様を提供されてSIerやハードウェアメーカーが開発を進めてきました。今後日本のIT業界の主役はどちらへ変化していくでしょうか。
その点に関しましては、日本における大きなチャレンジだと思います。オフショアを行ってもかえって割高になったというのが大方の企業の現状だと思います。あまりに行ったり来たりが激しいのでうまくいかないということが一つあります。ではアメリカは行ったり来たりしていないのかというと、現実にはしてるんです。ただ、それがそんなに日本ほど激しくありません。一つには、ホワイトカラーの技術。要件を取りまとめそれを文書化するというテクノロジーに非常に長けています。それと、もう一つは契約形態の問題もあると思います。いついつまでにとにかく何か作ってほしいという契約形態というのは、アメリカではむしろまれで、内容を決めた形で出すか、あるいは決まっていなければ受け手はタイム・アンド・マテリアルで受けるかの2つで、そんなに大きなリスクを受け手は背負わない構造になっています。ですから、アメリカの契約形態では発注者側の責任が非常に大きくなる。それに対して日本は、非常に発注者側に優しい契約形態ということが言えるかと思います。ただ、発注者側も、よくないと思っているところは多くて、UMLを取り入れたいとか、もうちょっと上流工程をしっかりしてほしいということで、BPMというのを取り入れたいというお客さんはたくさんいらっしゃいます。ところが、受け手のほうがむしろそれに対しては遅れている。受ける側が受けられないというのが今の現状ではないでしょうか。

OMGとBPMIの統合は経営とITの融合を促進する

―OMG(オブジェクト・マネージメント・グループ)とBPMI(ビジネス・プロセス・マネジメント・イニシャチブ)がOMGによって統合されました。
OMGはエンジニア集団であるとともに標準化能力も高く、BPMIはビジネスアナリスト集団です。どちらかと言いますと、OMGはよりベーシックなところ、ファンダメンタルなところに興味があるのに対して、BPMIのグループは実現性のほうに注意がいくという傾向があります。客観的に見て非常にいい組み合わせだと思われます。また、大きな合併の結果、UMLの位置付けが明確になってきた。BPMIあるいはSOAのアーキテクチャにおいても、UMLというのはその基幹を成す技術として位置付けられました。もう一つは、UMLを使って、品質メタモデルとかモチベーションメタモデルなど、従来自然言語でしか扱えなかったような分野がモデル言語で扱えるようになったことです。より概念的なモデルもUMLで記述できるようになったということで、よりテクノロジーと経営層が近い共通言語として、いわゆる経営とITの融合と昨今言われていますが、強力なツールになると思います。

組込み系の国際競争力維持
OCRESに期待

―今年の秋にはOCRESという組込み系の資格制度を立ち上げます。
日本は非常に組込み系が強いエリアです。組込み系のソフトが国際競争力がなくなってしまうと、イコール日本の国際競争力もなくなってしまうと言っても言い過ぎではないという状況下で、このテクノロジーを磨いていくというのは非常に重要なことだと思います。それと昨今は、組込み系、リアルタイム系は職人芸でやっていたんではもう追いつかないという状態になりつつあります。こういった新しいテクノロジーを応用しつつ、なおかつ日本が従来から培ってきたアナログ系の技術をハイブリッドの形で国際競争力を維持していくというのが、ここ10年20年の大きな課題だと思います。そういう意味でOCRESの意義といいますのは非常に高いと思います。

―新潟県の企業の中にもUMLを会社内の共通言語にしようとチャレンジしている企業があると聞きましたが。
新潟県は今年で3年目になるんですが、コンスタントにたくさんのエンジニアの方を、受講生として派遣されている企業がおられます。どういった会社かといいますと、傾向としては組込み系の会社です。組込み系には品質コストが非常に高い、トラブルが発生した場合にPL法等の補償をしなければいけないという特徴があります。組込み系はアプリケーション開発より変化が激しいエリアです。そこでどうやって品質を維持できるかということで、UMLを会社内の共通言語にしようということを目指されている会社さんですね。組込み系で結構いらっしゃる、ということが言えます。

社員の成長とともに大きくなりたい

―今後の戦略、戦術について教えください。
私どもは元々マネジメントトレーニングの会社ですが、現在はエンジニアを出しているという部分が非常に多くなってきております。今後の経営形態としては、外部だけでなく社員に対しても教育を提供し、そしてともに成長していきたいと思っています。それともう一つは、中国。オフショアアジャイルというような形で、中国のソフトウェアの力と私どものテクノロジーを組み合わせて日本経済に多少貢献したいと考えております。