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業種事業部で金融システムを担当するようになって、"お客様とのコミュニケーション、並びにお客様の 価値の重要性" という視点を持てたことは、明らかな転換点になったといえます。

株式会社N&J金融ソリューションズ
バンキングアーキテクチャ開発事業部長 兼 
第二開発事業部長
石井 慎一郎 氏
Profile
Shinichiro Ishii
84 年、日本電気(株)入社。ソフトウェア生産技術研究所管理技術開発部に配属され、システム開発上流(分析・設計)関連の研究開発に携わる。その後、CASE・標準化、OT・フレームワークを経て、金融勘定系パッケージ開発、適用SIを担当。04年春、N&J 金融ソリューションズ設 立と同時に同社へ出向。現在は、事業部長として金融勘定系パッケージ開発適用、並びに金融ドメインでのEA/SOA/BPM適用推進を統括。

日本が独自で培ってきた横並びの金融システム

―金融系システムの開発を手がけていらっしゃいますが、日本の金融業界の現状についてどのようにお考えですか。
日本の金融業界は、都市銀行から地方信用組合まで階層的な形で構成されているのですが、稼動しているシステムの基本的な機能はどこも同等に近いサービスレベルとなっています。コンビニのATMなどでは、地方銀行でも利用できる状況にありますが、全国規模で使える必要があるのか、24時間365日稼動させる必要があるのかなど、金融機関の顧客にとってのサービスレベルを改めて追究して考えていかなくてはならない段階に来ていると思います。

―日本の金融システムは、これまで勘定系などで独自のノウハウを形成してきましたが、グローバルスタンダードが浸透していくなか、今後はどのような展開を見せていくのでしょうか。
確かに日本の金融システムはグローバルではないかもしれませんが、OMCS(オープン・ミッション・クリティカル・システム)性の追求など、物(システム)作りの観点からは非常に優れた点も多く、残ってしかるべき事柄だと考えています。ただ、先にも述べたように、“均一的なシステムによるサービス”という縛りから脱却し、積極的に差別化を図っていく動きも出てきています。その際は、ある程度OMCS性を犠牲にしても安く早く稼動できるような海外ベンダー製品の活用も考えられます。また、05年夏から“ATMスロットゲーム”を採用した、大垣共立銀行のように、横並びサービスからの脱却を図る金融機関も増えてくるのではないかと思っています。

オフショア開発には“徒弟制度”が有効

―御社では、早期からオフショア開発の実績をお持ちですが、今後の展開についてどのようにお考えですか?
私自身、研究所時代から中国やインドといったアジアのエンジニアたちとやってきました。オフショア開発の現状は、ほとんどの場合、設計は日本、コーディングといった製造工程はオフショアという分担になっています。日本の勘定系システム開発の場合、とくに独自性が強く、従来からの暗黙の了解が多かったりするので、それらを現地のエンジニアに正確に仕様化して伝えることが重要になってきます。彼らは仕様書に忠実ですので、単体テストにしても機械的に意味の有無を問わず、全てのテストケースを評価してしまいますから(笑)。 当社では、04年にいったんすべてのオフショアを休止したのですが、近々また新たに再開しようと思っています。今回は、他国のエンジニアを全工程一緒に活動できるメンバーとして育成し、長期に渡ってパートナーとして付き合っていけたらいいなと思います。

―エンジニアの育成やスキルアップにかかるコストは、御社がバックアップしているのですか。
そうです。これまでにも、各国のエンジニアを東京に招いて、トレーニングを実施してきました。エンジニアの人数が多いのなら、それなりの技術者が現地に赴くというやり方も考えられます。技術はどんどん進化していくものなので、それを学んでもらうには“徒弟制度”的な進め方が有効と考えています。とくに、システムの基盤を短期間で作るような場合には、お互いのいいところをミックスしていかないと難しい状況になってきています。

―どのようなコミュニケーションツールを使っていらっしゃるのですか。
現在、UMLをプロジェクト全体にて使用するようになってきていますし、オフショア開発の場合には、コミュニケーション手段として絶対に必須だと考えています。言葉の壁もあまり気にしなくてもいいですしね。

新しい知識はどんどん適用させていくことが大切

―今後の目標について教えてください。
いま入社して20年ちょっとですが、これからはソフトウェア工学のエバンジェリストとしてやっていくのか、はたまたSEの長としてのゼネラリストとしてやっていくのか.. 自分の将来はわからなくなってきています(笑)。 
最近は、お客様に喜んで頂けるような直結するサービスを、創出・提供していくことが最も大切だと感じられるようになりました。お客様とのコミュニケーションはもちろん、その中からお客様がどこに価値を置かれているのかを議論する重要性を知ることができたことは、金融という業種事業部に来て明らかに価値が転換した点だと思っています。

―若手エンジニアへのアドバイスをお願いします。
入社3〜4年目の若手エンジニアと話すときには、「自分のコンピタンスは何か、自分の強みを伸ばしていこう、という姿勢を意識してみたら」とアドバイスするようにしています。もちろん、誰もが「これだ!」という目標を持てるかどうかわかりませんし、時間とともに変わることもあるかと思います。その中でもエンジニアとして、単に新しい知識を吸収・蓄積するだけではなく、積極的に適用することを繰り返し繰り返し続けて行くことが大切なんだという点を強調しておきたいし、自分自身にも常々、留意しているところです。