技術や知識は、後からいくらでも身につけられる。だから、30歳でエンジニアを目指したとしても、遅くはないのです。
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日本フィッツ株式会社 新証券システム開発室シニアマネージャー 荒井 玲子 氏
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Profile Arai Reiko 90年にソフトウェア業界に入り、富士ゼロックス情報システム、日本ラショナルなどを経て、日本フィッツで5社目となる。研究開発、人材育成を軸に、オブジェクト指向やUMLなど新技術の啓蒙普及に努める。“地に足着いたアバンギャルドなエンジニア”が現在のキャッチコピー。この春には、『UMLによるオブジェクト指向モデリング セルフレビューノート』(ディーアート社刊)を上梓予定。
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音大出身の異色エンジニア |
―90年代初頭にソフトウェア業界に入り、現在は業界の牽引役として活躍するコアな世代に属していらっしゃいますが、ご自分たちの世代についてどうお考えですか? 90年代はじめは、ちょうどAI(人工知能)ブームが去り、直後にオブジェクト指向が注目されるようになった時期です。わたしは91年からオブジェクト指向でご飯を食べています。
AIブームは商用化に失敗してあっけなく去り、その後のオブジェクト指向にも疑いや悪い先入観が先行していました。このような状況下で先発隊にあたるわたしたちの世代は、ずいぶん叩かれてもきました。わたしたちは、“迫害の世代”と呼んでいますけど(笑)。
―音大出身という異色の経歴をお持ちですが、なぜエンジニアの道を選んだのですか? 大学ではパイプオルガンを専攻しましたが、音楽家として成功するには長い時間を要します。30代で若手、40代でようやく名前が世に出るといった具合です。大学を出るころはバブルも終わりかけの時期だったので、とにかく食べるために仕事を探しました。そんななか学部を問わず募集があったのが、情報システム関連の業種でした。音楽とソフトウェア開発はとても似ているという考えは、当時から変わっていません。
―専門としている分野はなんですか? 専門は、開発プロセス、品質、人材育成の3本が柱となっています。現在は、証券ドメインのシステムフレームワーク開発を対象に、この柱から派生するサービスをプロジェクトに適応させる、ということをやっています。 金融系に携わるようになってから、つくづく経済はおもしろいなと思うようになりましたね。なにしろ金融には実体がありませんから。たとえば“普通預金”というのは銀行の販売している商品ですが、目には見えません。それゆえに金融では、商品をどう捉えるかが肝心になってきます。そんな環境もあって、実学としての経済に興味を持つようになり、仕事と平行して大学の通信課程で経済の学位も取得しました。
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“素直さ”を保てる人が伸びるエンジニア |
―どんな人材に期待していますか? また、エンジニアとして適しているのはどのようなタイプでしょうか? モノづくりが好きでこの業界に入りたい、という素朴な人に期待しています。 長年、後進の指導に関わってきた経緯から、伸びる人の最大の特徴は、“素直である”かどうかに尽きるといえます。いくつであろうとも、素直でさえあれば伸びていきます。それに加えて、日本語を論理的に書く能力も重要です。それはつまり、物事を構造化し、組み立てる思考力があるということですから、エンジニアには必須の要素ともいえます。
―“エンジニア35歳定年説”についてどう思いますか? 年齢はあまり関係ないと思っています。年齢を気にすると、逆に足かせになってしまいます。たとえば、携帯電話の普及をみても、40歳だから携帯電話が使えないということはありませんよね。そのくらい、人間は柔軟だということです。技術や知識は、後からいくらでも身につけることは可能です。だから、30歳からエンジニアを目指したとしても、遅くはないのです。
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多くの言葉よりも簡潔な図面で表現 |
―基本としている開発手法はありますか?
最初に在籍した会社で、ソフトウェアを構造化して考える開発手法を徹底的に教育されました。さらに、つぎの会社ではSmalltalkやOMT法と出会い、オブジェクト指向の美しさを知りました。方法論、技法による開発手法は、システマティックでキレイだなと感動しましたね。それ以降、考えをまとめるときにはなんでも図面にするクセがついています(笑)。文字より図のほうが断然わかりやすいですから。
―UMLは、コミュニケーションツール、言語、図面など様々な使い方がありますが、最適な使い方はどのようなものだとお考えですか? UMLは、やはりコミュニケーション言語として優れていますね。すべての英語、日本語はUMLに置き換えて表現することができます。以前インドのエンジニアと共同開発した際にも、UMLで描いた図面を使って設計の議論ができて、とてもラクだなと思いました。 コミュニケーションのために英語を勉強するエンジニアもいますが、それよりも日本語をしっかり勉強したほうがいいと思います。若い世代が使う今時の省略形や主語の省略など、90年代初頭にオブジェクト指向を学んだ世代には、ものすごく違和感がありますね。
―UMLをいかにプロジェクトに適用させることで、有効活用できるのでしょうか? より円滑なコミュニケーションのためにも、設計のコアな部分にUMLを使うといいですね。ひとつひとつのパーツを言葉で表現すると、3、4ページのボリュームになってしまいますが、図面だと線をたどればピッとわかる。これは大きいですね。でも、なんでもかんでもUMLというのではなく、これまでも書いてきた仕様書や画面設計書などを併用することで、プロジェクトがひとつながりでわかるようになりますよ。
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