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10年後20年後のビジョンを明確にして自分のやりたいことにこだわりを持つ――やりたいことを実現するチャンスは自分で作る。

株式会社日本総合研究所
事業化技術センター 所長
技術士(情報工学専門) 細川努氏

Profile
Tsutomu Hosokawa
オブジェクト指向モデリングやITアーキテクトなどを専門として経験を重ね、現在は日本総合研究所において技術研究部門を率いる。『ビジネスモデリング研究会』など、UMLモデリングを通じて多くの有識者との交流に参加。

音楽とモデリング IT業界の“バッハ”が理想!?

―現在のお仕事について教えてください
法科(中央大学法学部法律科)出身ですので、法務をやりたくて入社しましたが、技術的なことがわからないと仕事にならないといわれ、SEからスタートしました。技術系に関わるようになってからは、方法論やソフトウェアが好きになり、すっかりハマリましたね。90年代後半からは、設計からプログラミングまでシームレスに活用できるモデリングに注目するようになりました。そこで、社内から技術に強い若手を募って実践に適うチームを結成し、理想的な環境を整えてきました。現在では、R&Dや技術の標準化を担っています。オープンソースなど法律が絡む仕事も増えていますね。

―研究テーマは何ですか
技術からビジネスまで、どのようにITを活用してメリットを出すか、がテーマです。現在は、パッケージに業務を合わせるようなシステム構築も一般的に多く見かけられますがそれは主客転倒なのではないでしょうか。本来あるべき姿としては、業務ニーズを簡潔な形で表現し、効率的にシステムを作ったりカスタマイズしたりすることが必要だと思います。そのために、UMLを用いて、ビジネスモデリングから、分析・設計・実装までをどのように最適に進めるかを研究しています。

―今後の目標は何ですか
私は、クラシック音楽、とくにバッハが好きなんです。バッハは対位法といって複数の旋律を同時に組み合わせる音楽(ポリフォニー)の大家で、ひとつのテーマを元に6声部のフーガを即興で演奏してみせたといわれます。複数の旋律を組み合わせて音楽を構成することと、オブジェクトを組み合わせてシステムを構築していくことはなんとなく似ています。バッハには及ばないと思いますが、今後もいいシステムを設計・構築できる技術者でありたいですね。

思考をまとめ、他者を理解するUMLの早期マスターは必須

―UMLが登場した10年前との違いは何ですか
ひとつは、ソフトウェア技術自体が複雑になり、UMLのようなモデリング抜きにはシステム開発が困難になりつつあることです。Web、オブジェクト指向言語、データベースなど様々な技術を利用したシステムを行なうには、従来のようなドキュメントだけの設計仕様では限界があり、モデリングによって一目瞭然に表現することがあたりまえになってきています。一方で、UMLを業務分析などのビジネスモデリングで利用することも増えてきました。まだまだ一般のユーザーに対してUMLのモデルだけで理解を得ることは難しいのですが、モデリングによって業務をわかりやすく分析するメリットは十分にあると思います。

―UMLのメリットをどうお考えですか
UMLが登場して以来、多くの成果があらわれていると思います。例えば、昔はデザインパターンやアナリシスパターンなどのパターンランゲージは、著者ごと異なっていたので、読む側にとっては迷惑でした。現在では、多くのパターンがUMLで記述されるようになり、UMLを通じていい設計のありかたを学べるようになってきています。パターンに限らずとも、いい設計やいいプログラミングをするためにも、UMLは大きな効果を持っているのではないでしょうか。

―これからUMLを学ぶ方へのメッセージ
一番いい手段は、やはり実際のプロジェクトの中でやってみることだと思います。できれば、小さなプロジェクトで結構ですから、経験のある先輩やコンサルに参加してもらって分析・設計・構築・テストまでUMLを使って体験してみることをおすすめします。UMLを理解する仲間が職場に増えれば、仕様に関する知識や、いい設計に関するノウハウを共有するなど、いいことがたくさんでてくるはずです。

―目標達成のために必要なものはなんですか
UMLに限らず、みなさんがチャレンジしたいことは、たくさんあるはずですが、必ずしも十分なチャンスが与えられるとは限りません。しかし、10年後20年後にも通用する技術者であるためには、しっかりとしたビジョンと、意志を持って自分自身のキャリア設定をしていくことが重要です。チャンスは与えられるものでなく、自ら作っていくものではないでしょうか。