“コミュニケーション”への意識改革がもたらす新たな技術やツールが若い世代と業界に夢を与える。
| |
|
| 株式会社 豆蔵 取締役会長 羽生田 栄一氏 |
 |
Profile Eiichi Hanyuda OO歴15年。技術士(情報工学部門)。ワークショップ形式のOO教育、コンサルティングを実施し後進育成にあたっている。趣味は、街探索と古本屋巡り、そして言語学。"「言葉」は人間を特徴付ける最大の属性"の知見を持つ。
 |
"コミュニケーション能力"の向上が
プロジェクトの在り方を変えていく |
―IT業界の現状をどうお考えですか ITバブル以降、ビジネスとITの垣根はますます低くなってきています。例えば、ソフトの魅力のひとつには、元手がなくても想像力があればカタチになるという点がありますが、想像力、つまりその企画とITの間にある垣根を取り払っていける、ITもビジネスもわかる人間に可能性がみえる時代になってきています。武士にとっての"刀"のように、現代ではITがビジネス上の決定的な武器になりつつあります。
―意識改革は進んでいるのでしょうか いま、すべての人に必要とされているのは、"コミュニケーション能力"です。個々のポジションの人間が伝える技術を持つことで、互いに理解し合えるようになります。ただし、これは技術的な問題だけで解決できるものではなく、外へ向かう=コミュニケーションを望む、という意識改革が進んでいるからだと思います。このような時代の要請に応えるために、UMLをはじめとする新たなコミュニケーション技術が登場してきています。
―意識改革でもたらされるものは何ですか ソフトウェア業界は、建築や電子回路といった業界と比べても、いまだに設計図がいい加減なんです。プロ意識を持って取り組むには、さらに図面を共有化していく、つまり"モデリング"の手法を導入していく必要があります。モデリングが導入されれば、技術力も生産性も上がり、現場での作業も簡便化されることでしょう。プロジェクトの上流と下流の意識が変われば、中間で活躍する"橋渡し"的な人材マーケットも生まれます。いわゆる"ITコーディネータ"といわれるような仕事が増える可能性もあるのです。
 |
変革のカギは"若い世代の夢"の実現 障壁は経営者の"現状認識力"の不足 |
―改革のカギは何ですか 若い世代の、こういう技術で夢を実現したいという情熱に、企業が応えていけるかにかかっています。若い人たちが気持ちよく仕事できる環境がないと未来はありません。経営者には、業務がこんなにも"モデリング"という発想と関係深い、ということを理解させる概念構築が必要でしょうね。また、経営者の多くは「ITはIT」と思っている。経営とITが密接に重なることで、儲けに繋がることに気づいていない。そういう意味では経営者がいちばんの障壁だといえます。
―若い世代についてどう思いますか まだアグレッシブになりきれていない、ちょっとひ弱な印象があります。意欲という根本的なものは、教えてなんとかなるものではありません。現在は、情報が溢れ技術も細分化している分、次のステップや将来像が見えにくい時代です。でも、プロフェッショナリティを確立していかないと、ただの使い捨てで終わってしまう。ソフトの世界にはノーベル賞はないし、スポーツ界でメジャーを目指すといった具体的な目標を設定しにくい業界であることも問題なのかもしれません。
―開発現場はどう変わるのでしょう これからは設計図を基にエキスパートがチームを組んで開発を進めていく時代になります。UMLとその開発プロセスが標準化していけば、個人が役割を理解した上でプロジェクトごとに集まっては散っていく、クールな関係が生まれるかもしれませんね。モデリングのスキルがあれば、ノートPCひとつでさすらうプロフェッショナルが成立する時代が来ると思います。
―これから必要なものは何ですか 常に異文化と接する努力が必要です。異文化からしか新しいアイデアは生まれません。私自身も、可能な限り小説を読んだり、異業種の人と交流するようにしています。また、いまのエンジニアは最先端技術の情報は入ってくるが、なかなか原理を学ぶ機会がない。これからはすぐに使える技術を学ぶよりも、原理と実践を循環させるような教育が必要です。そして、若い人が夢を持てる業界としてのカルチャーを提供したい。目標が見えて向上心が持てれば、経験を得られる、そんな業界にしていきたいですね。
|